日本人心臓外科医の中で確実に僕が最も多く経験している手術

ある日、ニューパルスという鎖骨下動脈からバルーンを入れて、そのまま体の中に埋め込んじゃって心臓をサポートする、LVAD的なノリの手術をしました。このニューパルス、シカゴ大学で生まれた(チーフが作った)のですが、アメリカ発のデバイスがFDAにより認可されたのは数十年ぶりのことらしく、すごいことだと毎回チーフは言っています。細かい、非常に細かいtipsはありますが、基本的には鎖骨下動脈から管を入れるだ…

33 ベトナムのコーヒー

4月から初期研修医になる島優作と申します。 学生時代に北原先生の弟子として実験を指導して頂いたり、学会に連れていって頂いたりしておりました。 本来はここで今後の意気込みを書くべきですが、思いつかないので旅行でのちょっとした経験を   ベトナムコーヒーは世界的に有名らしく、ベトナムへ行く機会があったので、コーヒー中毒の私は心待ちにしていました。早速、空港で頼んでみると、出てきたコーヒーがな…

心臓移植、最後は1人で手術

ある日、心臓移植がありました。PAは移植に呼ばない決まりになったみたいで、僕とチーフの2人で手術が始まりました。特に話すこともなく黙々と手術が進みました。途中からデイビッドのおっさん(謎の人物)が手伝いに入ってましたが、PAのジョンとは比べ物にならないくらい扱いづらかったです。挙句に「俺は朝の6時から働いてる、だからもう帰っていいか」と交渉を始め、胸閉める前に帰ってました。そして最後は僕1人になり…

夏の兆し @シカゴ

月曜に雪降ってたと思えば、今はなんとなく夏に向かってあったかくなってきてます。写真は夜7時のシカゴのダウンダウンの様子ですが、明るいです。こっからのシカゴは最高です!

三尖弁の何回目かの置換手術

ある日のことですが、昔に入れた機械の三尖弁がスタックしてしまった人の手術をしました。手術終盤、ICUのクレア(APN、アドバンスドプラクティショナーナース、スーパー看護師みたいなイメージ)から病棟の患者の鎖骨下動脈IABPを抜く人がいないから抜いてくれないかと連絡がきました。また鎖骨下動脈かよ、と悪態をついていると、ロザンナ(オペナース)が携帯もっておろおろしていました。「ロザンナ、とりあえずクレ…

ハートメイト3植込みの手術

ある日のハートメイト3植込み手術の話です。人工心肺開始するくらいのところで、LVADのキットの中に入っていた心尖部に穴あけるようのナイフ(筒状のナイフ、よく切れる)でショーン(オペナース)が指を切ってしまいました。急遽オペナースなし状態になってしまったのですが、上司の太田先生がそっと静かに助手の位置から看護師のサイドに流れ込み機械だしを始めました。アテンディングサージャンが機械だしをする光景はかな…

鎖骨下動脈の手術

ある日のことです。オペ前にハイブリッドバイパスに関するミーティング(毎週水曜)がありました。次に治療する患者の名前が南アフリカ出身っぽいとか、いやいや北アフリカ出身っぽいでしょ、と盛り上がってました。最終的にはサンディープ(循環器、平井先生の上司、平井先生はシカゴ大学の循環器フェロー)がグーグルで名前を調べたところハワイ出身の人でした。 ミーティング後不整脈をロボットで止める手術が控えてましたが、…

熊木日記 9

こんにちは\( ˆoˆ )/♡ 最近、若干悩みを抱えています。 以前も載せたのですが、私はポプテピピックっと言うアニメのポプ子に似てると院長に1週間に最低3回は言われます。前に買ったポプ子のキーホルダーを、1ヶ月くらい前そっと院長の机に置いてみました。 部屋から何の反応も聞こえて来なかったのでそっと覗いて見たら嬉しそうに付けていました。(¬ _¬) それだけなら、まだいいのですが、忙しい時に 院長…

パッションを感じた手術

たくさんPVCがある人のPVCを止めよう、がテーマのロボットを使った手術が某日行われました。何度か内科でアブレーションをしたみたいですがなかなか治らず、ロボットのもとへ運ばれてきました。手術はEP(不整脈好き循環器内科医)と合同でやる感じなのですが、EPのトップ、ロッドタンがかなりパッションに溢れる人で 「そこ、そこ、-45?かなりいいじゃん、そこで行こう(なんなのかよくわかりません)」 「この動…

早朝予定の移植がなんだかんだで真夜中から始まる手術

題名の通りのことが起こりました。移植が遅れるのはよくあることです。 移植を待ってる間に、大動脈解離で運ばれて来たおばちゃんがいましたが、CTでは明らかに解離ではなくアーチファクトがうつしだされていました。おばちゃんの見た目もすごく元気そうでした。なんなら痛くもない、と言ってました。 移植はその後真夜中というかもう朝から始まり、次の日の昼頃に終わりました。胸を閉めていると見知らぬ女子が僕に熱い視線を…