ある日、ホモグラフトを使った基部置換術がありました。日本では一度も見たことなかったのですが、こっちにきてからたまにみるホモグラフトです。ウェットラボとかでみる豚の心臓についてる大血管みたいです。 こういう日本でやらなかった手術とかをやってみると、日本でもし手術をする機会などがあったときに「アメリカではホモグラフトとか使ってたんだけどなぁ」とかちょっとかっこつけたりして、看護師とか研修医とかに、また…
ある日大動脈解離の手術がありました。 器械だしナースはロザンナがやっていました。ロザンナは必ずといっていいほど手術の最後の方でガーゼが足りない、と叫び出します。その日もそれで100回くらい、ガーゼ胸の中にない?足元にない?隠してない?と疑いをかけられました。だいたい床に落ちてたりするのですが、疑いをかけられること自体あまり心地はよくありません。その日も床に落ちてましたが、僕にかけられた冤罪に関して…
ある日、さらっさらの心臓移植の手術がありました。さらっさらというのは、手術の既往もなく、なんもないすごいやりやすい心臓移植です。BMIが高すぎる人などは移植の適応がおりないので、移植患者はだいたいいい感じの体格の人が多く、今回は小さな女の人でしたがめちゃくちゃやりやすかったです。チーフの症例でしたが「カモーン」と怒られることなく(はじめてかもしれない)手術は終わりました。
ある日、ニューパルスという植え込み型のバルーンパンプが感染したということで手術になりました。 術前にデイビッド(おっさん)がこういう風にやるから、と凄く説明してくれました。いや説明いらんけど、と思いましたが、うんうんそれでそれでと聞いていました。説明は感染したニューパルスを取り出して、取り出したところは綺麗に洗って、どうにかして別のところにニューパルスを植え込むという感じでした。別のとこに植えこむ…
ある日、冠動脈バイパスがありました。 器械出しはスーパーオペナースのアグネス。チーフの症例ではなかったので、プレッシャーもなくウキウキしていました(僕も)。内胸動脈をとってると暇になったのか意気揚々と話しかけてきました。 「ヒロ、ごめんね。プレートガール、彼氏がいるみたいなの。インタビューしたら教えてくれたわ」 オーマイガットです。その後もアグネスは話し続けます 「私頑張ってヒロのガールフレンド見…
ある日、冠動脈バイパス術、心臓移植、その後に大動脈解離、エクモ、鎖骨下動脈IABPという僕の唯一のドューティーとされている仕事達がほぼ全て揃いました。野球で言うところのサイクルヒットな感じです。途中の心臓移植の時なぜかしんどくて4-0で皮膚閉じてる時に寝そうになりました。手術は終わりました。
ある日、心移植の手術がありました。輸血を使わない人だったので大変でした。 オペナースは先日スーパーオペナースと認定されたアグネス。昔チーフからキックアウトされた過去を持つため、緊急でしかチーフの症例には入らず、チーフとアグネスというのはかなり珍しい組み合わせなのです。僕は最近の彼女のスーパーっぷりを知っているので「アグネス、スーパーアグネスを見せてやりな」と、戦友が今まさに大空へと羽ばたく瞬間を楽…
ある日、肺移植の手術がありました。 前回再開胸の肺移植(2回目の移植)は色々あって12時間近くかかったのですが、今回はいわゆる普通の肺移植。珍しく術前の全身状態も良く、胸郭も大きくてなかなかやりやすそうな感じで、テイ(若手アテンディング)も「終わったら久しぶりにチャイナタウンでも行くか」と上機嫌でした。肺動脈とか肺静脈の剥離が早く終わり肺が届くのを待っている時間ができたので、テイが「これで皆の分の…
ある日、三尖弁置換術がありました。 手洗いナースはアグネスでした。アグネスは入ったばかりの頃どうしようもなくできない手洗いナースだったみたいで、チーフの手術からキックアウトされて上司の太田先生の手術にずっと入っていました。ところが、3年という時を経て今では誰よりも僕たちの手術のやり方を知っており、ものすごいやりやすい手洗いナースとなっています。大器晩成型だな、と太田先生も言っていました。手術中も小…
ある日、冠動脈バイパス術がありました。 米国ではEVH いわゆる内視鏡を使ったバイパス用の静脈採取はかなり一般的らしく、そういえば今はもういなくなってしまった(セクハラの罪でやめていった)PAのティムが、80から90%はEVHだ!と言っていたのを思い出しました。今はジョンG(白人、いい人)とジョンS(黒人、お調子者)の2人しかオペ室PAがおらず、2人ともシニアなので(50代くらい)今までずっと内視…